自立生活セミナーの報告
2011年7月22日、プノンペンCIL(PPCIL)において重度障害者と政府関係者を招いた 「地域における自立生活セミナー」を開催しました。
参加してくれたのは、地域に住む障害者6人とその家族、政府関係者3人のあわせて21人でした。このほかスタッフや関係者10人が加わり、合計31人のセミナーとなりました。
参加者には事前に、トゥクトゥクで来る場合には交通費を支給する旨を伝えていましたが、実際トゥクトゥクを利用して来たのはたったの一人でした。なかには、ご両親とバイクで来た人もいました。また、障害を持つ6人の参加者たちは普段みな車椅子を使用していますが、この日は5人の方が身一つ(車椅子なし)でやって来ました。
セミナーの内容は、(1)自立生活の説明、(2)介助を使って行う障害者の自己実現、そして(3)障害者の権利擁護についてでした。
セミナーでは、日本の障害者の自立生活を紹介するビデオも上映しました。そこには、身体がまったく動かない障害者が介助を使って健常者と同じような生活を営んでいる様子が映っており、参加者らは驚いていました。また、障害者の生活を尊重する姿勢に興味をもってくれたようでした。
権利擁護・介助についての討論の時間では、障害者の家族から多くの声が聞かれました。「この子は何もできないから・・・」という悲観的な声から、大きすぎる家族の負担を指摘する声など、さまざまな意見が出されました。また、環境の整っていない今の状況では障害者とその家族の生活が非常にたいへんであること、環境が改善されれば障害者が自ら選んだ生活スタイルを実現できること、そしてそれは社会全体の課題であること、などの討論が行われました。
さらに、障害者が自己実現できる社会を目指すには、まず障害についての情報を広めること、彼らに対する差別をなくしていくこと、そして障害当事者が自らを卑下せずに自信を持つことが大切である、といった意見がありました。そのために、障害者が進んで社会参加し、障害について正しく知ってもらうアプローチをしていきましょう、という話合いが持たれました。
セミナーに参加した政府関係者からも、「これまで障害者について考えたことがなかったが、これから一緒に障害者のことを考えていきたいと思った」、「バリアフリーや介助制度など、少しずつでも環境を整備していきたいと思う」と言った感想が聞かれました。
障害者の家族による体験談 |
6人の障害を持った参加者たち。最前列4人と2列目右から2番目、左端 |
障害者の自立についてのディスカッション |
障害者の権利擁護について |
PPCILではこういったセミナー活動を今まで月に2回、計18回ほど開催してきましたが、これからも続けていくことが大切だと思っています。
次の活動は、7月28日~29日の介助研修です。今回のセミナーに参加してくれた障害者2人と当センターの介助制度を利用している障害者2人を招いて、健常者の介助者と一緒に学んで行きたいと思っています。
また、この介助研修を通して介助者を増やし、障害者の介助をさらに増やせていけたら良いと考えています。
介助研修の詳しい予定は以下の通りです。
【7月28日】
【7月29日】
この研修を通して目指すのは、介助者育成はもちろんのこと、障害者による介助体験(そして家族から離れて生活する体験)や外出体験、それから介助者と障害者の相互交流・友達作りです。